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【新春トップインタビュー】㈱不二家 代表取締役社長 河村宣行氏2023.01.26(木)フードニュース

※本企画は「フードニュース2023年新年号」でも掲載しています。

菓子・洋菓子の事業横断型施策を展開
付加価値商品好調、売上・利益二ケタ伸長

―― 2022年12月期第3四半期(1‐9月)の実績はいかがでしたか。
河村 売上高は720億5800万円で実質の対前年同期比は114.5%(※)となり、営業利益についても25億1600万円(同128.6%)と二ケタの増益で進捗しております。原材料価格、エネルギー価格の上昇など厳しい状況が続いておりますが、付加価値のある商品展開や、若年層の購買拡大に向けた施策を、製菓事業・洋菓子事業それぞれで、また両事業横断的に進めてまいりました。通期も二ケタの増収・増益で着地できるよう取り組みを進めております。

※収入認識会計基準適用の影響等を除外

 
―― 大ヒット商品「カントリーマアム チョコまみれ」が2022年も好調に推移しましたね。
河村 2019年11月にセブン‐イレブン限定発売した「カントリーマアム チョコまみれ」は2020年より全国販売開始後伸長を続け、非常に好調に推移しています。ただ、これまで生産が追い付かず、需要に最大限応えきれなかったこともあり、同商品を生産する秦野工場において約33億円の設備投資(ライン新設)を行い、増産体制を整え、2022年10月下旬から稼働しました。最新設備の能力により、ロス軽減、品質向上、省エネなど生産性向上に繋がっています。
 このほか、10月4日に全国発売を開始した姉妹品の「ホームパイチョコだらけ」の販売も好調なスタートを切りました。


―― 3年以上もヒットし続けている要因はどのようにお考えですか。
河村 発売当初にSNS等で話題となり、特に若い年代の購買が増えたことはもちろん大きいのですが、やはり当社独自の技術力を活かした品質面に、価値を感じていただけているのではないかと考えております。
「カントリーマアム」のようなロングセラー商品は、ファン層が高齢化していく傾向にありますが、新たな付加価値を提供することができれば、ファン層の裾野が広がり、次世代を担う商品を生み出すことが可能なのだと実感しております。


―― ロングセラー商品「ミルキー」も好調に推移していますね。
河村 「ミルキー」は2021年に発売から70年を迎え、同年は70周年関連施策を実施しましたが、2022年は上白石萌音さんをブランドキャラクターに起用させていただき、“いやし”をコンセプトとした施策を展開しました。特に下半期からは好調に推移しており、新たに“いやし”という価値を感じてもらえたと考えております。
 また、70周年を機に誕生した新業態のカフェ&スイーツ店「milky 70 since1951」の新店舗を2022年にも出店するなど、単年のキャンペーンだけでなく、70周年をフックとした継続した取り組みが進んでいます。
「FUJIYA CONFECTIONERY」等で発売している「生ミルキー」も好評で、菓子・洋菓子事業でそれぞれの商品や施策が話題となることで、相乗効果を発揮することができました。


菓子・洋菓子事業連携で相乗効果

―― 御社では菓子・洋菓子事業で横断的な取り組みが進んでいますね。
河村 菓子・洋菓子といった2つの事業を持っている強みを活かすといった方針を示していましたが、社員の若返りや意識の変化により、年を追うごとに両事業の強みを活かし、融合を図る取り組みが広がってきました。
 若手社員が自由かつ柔軟に発想できるような企業風土になってきたと感じており、そういった中で今後も柔軟なアイデアに基づいた企画を考案し、それをベテラン社員等が支え、また設備面の環境整備などバックアップすることで、価値のある商品を提供し続けることができると考えております。


―― 洋菓子事業についてはいかがでしょうか。
河村 発売100周年を迎えたショートケーキにおいて「12の物語」と題して毎月記念製品を発売するなど、選ぶ楽しさを感じてもらう施策を展開しました。
 また、菓子・洋菓子共同の販促施策「Smile Switch」において、2020年より「洋菓子」と「ルック」のブランドキャラクターとして、「Snow Man」を起用したことで、課題となっていた若年層の購買が拡大しています。
 2022年は全国を周遊するイベントとして、「FUJIYA Smile Switch Journey」を京都、名古屋、札幌、福岡で開催し、各地域の限定商品等が話題となりました。
 このほか、従来のチェーン店のほか、「西洋菓子舗 不二家」「FUJIYA CONFECTIONERY (不二家 コンフェクショナリー)」といった新たなコンセプトに基づいた店舗を、デパート、複合型大型ショッピングセンターなど集客力が高い施設へ出店しており、また、駅構内の期間限定出店等も増加しております。同店舗は広告塔のような役割も果たし、菓子事業も含めて、不二家全体の宣伝にもなっています。


―― 菓子・洋菓子の連携について直近の発売商品や今後の展望についてお聞かせください。
河村 11月に「ルック」「ミルキー」からショートケーキ発売100周年を記念した社内コラボ商品を発売しました。また、「カントリーマアム チョコまみれ」の半生製品を、洋菓子の技術・ルートを活かして一部展開しています。菓子と洋菓子の得意な分野の技術を活かし、部門・ブランドを跨いだ商品展開は今後も活性化させていきたいと考えております。


―― 海外事業の動向はいかがでしょうか。
河村 中国では上海でのロックダウンの影響等で上半期に苦戦しましたが、第3四半期は大きく伸長しました。関連子会社の不二家(杭州)食品有限公司の工場では、これまで、棒付きポップキャンディを主に製造してきましたが、新たに第二工場が10月から稼働を開始し、ビスケット類の生産ラインを増強しております。
 このほか㈱バンダイと業務提携し、10月に紙棒キャンディ「ウルトラマンスティックキャンディ」を発売しており、今後、食玩分野をはじめ、菓子事業拡大を目指してまいります。
 中国以外での展開としては、9月にベトナムで当社菓子製品を輸入・販売することを目的とする、合弁会社を丸紅㈱と設立しました。同国向け仕様の製品の販売を12月から開始しており、今後、売上が伸長すれば、現地工場の設立、またアセアン各国への販売も視野に入れ取り組みを進めていきます。


―― 最後に今後の抱負、成長戦略についてお聞かせください。
河村 国内事業については、付加価値のある商品を提供していくことが重要であり、その背景にはやはり高い品質を確保する技術力が必要です。常に革新していく意識を忘れてはならないと考えており、国内で土台を固めつつ、中長期的には、伸び代が大きい海外事業の売上を拡大する施策を展開していく所存です。
 当社では2030年の目指すべき姿や目標を示したグランドデザインを社内で共有しています。2023年は物価高の影響をはじめ、先行きが不透明な部分が多いですが、社員には夢を持ってもらい、歩みを進めてもらいたいと考えております。

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