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【2023新春トップインタビュー」㈱ロッテ 代表取締役社長執行役員 牛膓栄一氏2023.01.26(木)フードニュース

※本企画は「フードニュース2023年新年号」でも掲載しています。

2022年上期売上伸長。ブランド力、
販売力強化し、新価値の創出加速

昨年は好調の主力ブランドが牽引高付加価値商品で成長領域拡大へ

―― 2022年の社会状況を踏まえた振り返りと、貴社の上半期実績についてお聞かせください。
牛膓 昨年は、新型コロナウィルス感染症が長期化するなか、ウクライナ情勢悪化、原材料・エネルギー価格の高騰、急激な円安、物価の上昇などが重なり、例年以上に変化の激しい一年となりました。
 弊社においても影響は大きく、事業環境はより厳しさを増しておりますが、こうした状況に柔軟に対応し、安心・安全で価値のある製品やサービスをお客様にお届けしてまいりました。
 2022年を振り返りますと、上期(4~9月)売上高については、主力ブランドが好調に推移したことに加え、昨年3月に銀座コージーコーナーを連結子会社化したことも寄与し、前年を上回りました。


―― 好調な売上に貢献した主力ブランドの動向についてお聞かせください。
牛膓 国内菓子は、「キシリトール」が素材としての機能理解が進んだことに加え、新製品が好調に推移し伸長しました。プレミアムタイプを展開した「ガーナ」「トッポ」や、複数のカテゴリー横断によりラインナップを拡充したシュガーフリーチョコレートの「ゼロ」も順調です。一方で、価格改定による需要の落ち込みで、「チョコパイ」等が減少となっております。
 国内アイスは、市販用アイスで「クーリッシュ」「爽」「モナ王」など主力ブランドの新製品が好調に推移し、伸長しました。業務用アイスも、行動制限緩和による人流の増加に伴い、業績が拡大。菓子同様に価格改定を実施しておりますが、販売施策等で需要を維持し、アイス全体でも大きな伸長を達成しました。


―― 海外事業の現状についてはいかがでしょうか。
牛膓 海外事業では、タイにおいて輸出販売が増加し、ベトナムも行動制限の緩和によりガムを中心に伸長しました。インドネシアは「チョコパイ」の生産能力向上に伴い、販売網を拡大し大きく伸長しました。ポーランドのウェデルはウクライナ情勢の影響を受けてはいるものの、「バーズミルク」が好調に推移しております。


―― 国内外の基幹事業に加え、未来に向けた施策も展開されていますね。
牛膓 新たな成長領域拡大への取り組みについては、2021年にチルドカテゴリーに参入した「生チョコパイ」が好調を維持し、販売エリアを拡大しています。さらにチルド第2弾として「生雪見だいふく」のテスト販売も開始しました。
 下期についても、引き続き主力ブランドによる顧客接点拡大に注力しています。既存商品に加え、「ガーナ」「チョコパイ」「レディボーデン」等のプレミアムタイプや、「ゼロ」「カカオの恵み」等の健康タイプといった、付加価値の高い商品を重点的に展開することで、お客様の購買意欲を高めていきます。


2023年は共通価値の創造促進

―― 2023年度に重点的に取り組みたい施策についてお聞かせください。
牛膓 2023年度以降もこれまでと同様に、社会的価値と経済的価値の両方を追求することによる共通価値(CSV)の創造を目指してまいります。
 昨年は、キシリトールと噛むことへの取り組みが評価され、消費者庁が主催する「令和3年度消費者志向経営優良事例表彰」において「消費者庁長官表彰」(特別枠)を受賞しました。この賞は、主力ブランドの一つであるキシリトールと、「むし歯のない社会へ」という社会課題解決への活動が評価された結果であり、共通価値の創造を実現した事例となりました。


―― 今後、共通価値の創造をどのようにして推し進められますか。
牛膓 共通価値をさらに生み出していく戦略として、「既存事業の強化・新たな成長領域への拡大・海外事業の強化・サステナビリティ経営の推進」を掲げています。
 既存事業については、生活者を起点としたマーケティングを徹底し、ブランド力・販売力の両面を強化します。また、メリーチョコレートカムパニー、銀座コージーコーナー、Dari Kといったグループ企業と製造・販売における連携を深め、グループシナジーを発揮していくことで新たな価値を創出していきます。
 新たな成長領域への取り組みについては、2021年の「生チョコパイ」以降商品開発が進み、手応えを感じ始めています。引き続き、新規市場への参入を加速し、将来の新しい収益の柱に育て上げていきます。
 海外事業については、現地生産工場の効率化と設備投資を同時に行い、収益性の向上とともに市場拡大を図ります。「キシリトール」「チョコパイ」「コアラのマーチ」「バーズミルク」等、各国の主力ブランドを中心とした国内のシェアアップと、周辺国への輸出強化を進めます。
 サステナビリティ経営については、「食の安全・安心」「食と健康」「環境」「持続可能な調達」「従業員の能力発揮」という5つのマテリアリティについて、2028年度までのESG中期目標を定めて取り組みを推進しています。


―― その具体例をご紹介いただけますか。
牛膓 まず、「食と健康」については、噛むことの研究・啓発を中心に活動し、世の中に広く噛むことの効能をお伝えしています。むし歯予防における地方自治体との連携や、スポーツへの取り組みを強化するなど、積極的な活動を行っています。
 「環境」については、エネルギー起源のCO2排出量(Scope1、2)を、2028年度に2019年度比で23%以上の削減を中期目標としており、2050年度までにカーボンニュートラルを目指しています。2021年度は14%の削減となりました(2019年度比)。2021年5月に賛同を表明したTCFDについても、提言に基づいた気候変動に伴うリスク・機会の分析を行い、レジリエンスの強化と情報開示に注力していきます。


―― 「持続可能な調達」に向けた施策に、注目が集まっていますね。 
牛膓 昨年1月にカカオ農家や自然環境に配慮しながらチョコレートを製造・販売するDari Kをグループ化し、サステナブルなカカオ豆の調達手法を取り入れました。また、サステナブルカカオの様々な魅力を体験いただける場所として、「LOTTE DO Cacao STORE」をオープンするなど、新たな取り組みに着手しております。


―― 社内の施策はいかがですか。
牛膓 「従業員の能力発揮」について、ダイバーシティ&インクルージョン推進の一環として、国内女性管理職比率を2023年度までに10%以上、2028年度までに20%以上にすることを中期目標としており、セミナーや研修の充実化など、達成に向けた取り組みを進めています。また、ライフ・ワーク・バランスの実現に向け、本社ビルの一部にフリーアドレスオフィスを導入するなど、生産性向上を促進する施策も進行中です。
 こうした取り組みを通して、業界全体の発展と市場全体の拡大に努めてまいります。また、これからも「お口の恋人ロッテ」として、皆様に笑顔と豊かな生活をお届けすることで、社会に貢献してまいります。

    

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