購読申込

【2023新春トップインタビュー】江崎グリコ㈱ 代表取締役会長 江崎勝久氏2023.01.26(木)フードニュース

※本企画は「フードニュース2023年新年号」でも掲載しています。

100周年にパーパス・ビジョンを制定
『七訓』の精神を礎に、新たな価値創造を

―― 2022年2月に創立100周年を迎え、3月には江崎勝久氏が代表取締役会⻑に、 江崎悦朗氏が代表取締役社⻑に就任されるとともに、新たに「存在意義(パーパス)」と「ありたい会社の姿(ビジョン)」を制定され、次の100年への歩みを踏み出されました。
江崎 100周年を機に経営体制の強化を図るとともに、新たにGlicoグループのパーパスとして「すこやかな毎日、ゆたかな人生」、ビジョンとして「Glico グループは⼈々の良質なくらしのため、 高品質な素材を創意工夫することにより、 『おいしさと健康』を価値として提供し続けます。」と制定しました。
 また、お客様に新たな価値を提供し、必要としてもらえる商品を作り続けることが重要であり、パーパスの実現に向け、中期経営計画(2022~2024)を策定しております。
 中計では、お客様を起点とした価値創造を実現するべく、① 発育・栄養の最適化、② 成長の支援、 ③ 運動能力の強化、④脳機能の向上、⑤ヘルシーエイジング、といった5つの注力領域の設定も行っており、「カテゴリーマネジメント」から「注力領域・事業」としてのマネジメントへと移行を図っております。変革に拍車をかけ、健康価値を伴う商品展開や、海外事業を中心に、次の100年へ向けた成長を目指していきます。


―― これまでの100年を踏まえ、今後の成長に向けて重要となることは何でしょうか。
江崎 100年の歩みを簡単にまとめることは難しいですが、創業期、また第二次世界大戦の戦中・戦後、オイルショック時など、様々な苦難を乗り越えて現在に至っております。
 苦難を乗り越えて、会社の存続・発展のために実践してきたことの根源となる考え方を、創業者・江崎利一は、『七訓』=「創意工夫」、「積極果敢」、「不屈邁進」、「質実剛健」、「勤倹力行」、「協同一致」、「奉仕一貫」、として残しており、社員にはこの精神を持ち続け、パーパスの実現に邁進してもらいたいと思っております。
 『七訓』すべてが大事ですが、特に「創意工夫」「積極果敢」「不屈邁進」の精神が大切だと感じています。商品開発やマーケティング、販促施策を「創意工夫」しつつ「積極果敢」に進めること、また、社員1人1人が自分自身ができることを100%出し切り、信念を持って「不屈邁進」の想いで取り組むことで、価値のある商品を創造し、事業を通じて社会貢献できるものと信じています。


―― 「おいしさと健康」を追求した栄養菓子「グリコ」は、100年以上に渡り愛され続け、また、世界中で人気となっている「ポッキー」などヒット商品を開発・発売されています。「七訓」の考え方の根源ともなる、貴社の歩みについてお教えください。
江崎 創業者である江崎利一は1919年、カキに含まれている栄養価の高い「グリコーゲン」と出会い、これを広く国民の健康増進に活用する事業化を決意しました。
 当初は薬にしようと考えていましたが、九州大学のある先生に「予防こそ治療に勝る」とのアドバイスを受け、またグリコーゲンが一番必要なのは育ち盛りの子どもであると考え、子どもが喜ぶ菓子の中に入れた赤い箱の栄養菓子「グリコ」の試験販売が1921年に始まり、翌年の1922年2月11日に大阪の三越での販売がスタートしました。
 また、「『食べる』と『遊ぶ』は子どもの二大天職」との考えから、1922 年にグリコのおもちゃのルーツともいえる「絵カード」をお菓子と一緒に封入し、1927 年には豆玩具を封入、1929 年には「おもちゃ小箱」が登場しました。
 そして、1933年にはビスケットに、健康に良いとされる酵母を配合したクリームがサンドされた「ビスコ」を発売しています。
 現在の中国・大連にも工場を新設し、大陸や南方へ展開を図っていきましたが、第二次世界大戦時は、原料統制が強化され逐次生産を制限せざるを得ず、さらに空襲により東京の工場が全焼、大阪工場も食堂1棟を残して全焼し、終戦で国内外の工場・資産をほとんどを喪失。想像を絶する困難の中、再建に向け社員が一致協力し、配給用乾パンの委託加工等を経て、1947年に「グリコ」、1951年に「ビスコ」の発売を復活させました。


―― そのように戦後の生産体制が整うなか、日本にアーモンドを広めるきっかけとなった商品「アーモンドグリコ」を発売されましたね。
江崎 1930年に江崎利一がアメリカ産業視察団の一員として渡米した際、シカゴやニューヨークで当時日本ではあまり知られていなかったアーモンドと出会いました。1954年頃にかねてから構想していた大人の嗜好に合った「グリコ」の開発に着手し、牛乳のエキスともいえる「ホエー」を使った開発で試行錯誤する中、長年温めていたアーモンドを利用することを決め、1955年に「アーモンドグリコ」を発売しました。
 口に含むとホエーの味がし、次に噛むとアーモンドの香ばしさを感じることから“1粒で2度おいしい”というキャッチフレーズのもと、爆発的に売れ、アーモンドの名が全国に知れ渡りました。


―― その後、多角化するべくチョコレート分野へと参入されました。
江崎 1958年にチョコレートひと山に、アーモンドを1粒入れた「アーモンドチョコレート」を発売。専用機械を開発して生産体制を整備し、アーモンドが粒のまま入った商品とすることにこだわり、また、効果的な販促施策もあり、主力商品となりました。
 アーモンドについては、60年以上にわたり研究を続け、2014年には手軽においしく栄養を摂取できるよう飲むアーモンド「アーモンド効果」を発売し、豆乳につづく第3のミルクとして健康や美容のニーズに応え、市場を牽引しています。
 また2022年12月15日には、アーモンド直営店「Glico ALMOND DAYS」を東京駅一番街「東京おかしランド」にオープンしております。今後もアーモンドの健康価値、新たな食文化を発信していければと考えています。


海外市場拡大、研究開発に注力

―― 今後の成長の軸となる海外事業の展開についてはいかがでしょうか。
江崎 中国では、グループ会社の上海江崎格力高食品有限公司が2022年5月から「ビスコ」の本格的な販売を開始しています。また、1970年にタイで現地法人「タイグリコ」を設立しておりますが、今後、成長著しい東南アジア市場での更なる拡大を目指してまいります。2022年にはインドネシアで、菓子製造工場が完成し、2023年から本格稼働する予定です。 


―― 最後に、今後の施策展開についての考えをお聞かせください。
江崎 従来から研究開発に注力しておりますが、“おいしさと健康”をさらに推進するため、科学的なエビデンスを伴った商品の開発を進めて行きます。AI活用、デジタル推進、お客様の声を起点としたバリューチェーンの構築、継続的な購買に繋がる施策など、戦略的に進めてきた取り組みを一層推進していく所存です。

この記事をシェアする