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【2024年新春トップインタビュー】㈱ロッテ 代表取締役社長執行役員 牛膓栄一 氏2024.01.26(金)フードニュース

※本企画は「フードニュース2024年新年特集号」にも掲載しています。

人流回復、「噛むこと」訴求でガム回復
豊かさへの価値提供、チャレンジ続く

― 昨年の社会・経済情勢の変化をどのように捉えておられますか。
牛膓 昨年5月、新型コロナウィルス感染症の5類移行により、社会は長いコロナ禍を経て、新たな展望へと動き出しました。外出機会の増加や対面での交流再開が、人々の生活に活気や希望をもたらしているように感じられます。その一方で、地政学リスクの増大や原材料・エネルギー価格の高騰、相次ぐ値上げによる個人消費の足踏みなど、先行きは依然として不透明な状況が続いています。
 事業環境が常に変化するなかでも持続的な成長を遂げるべく、当社は共通価値の創造(CSV)によって持続可能な社会の実現に貢献しうる取り組みを重ね、人々の暮らしに寄り添うWell-Beingな企業になることを目指してまいります。


― 昨年の貴社の動向について、まずは上半期からお聞かせください。
牛膓 2023年を振り返りますと、生活者を起点としたマーケティングに加えて、人流回復や価格改定が寄与したことで、主力ブランドを中心に好調に推移しました。
 上期については、国内菓子はコロナ禍の在宅生活で減少したガムが大きく伸長しました。キャンペーン等の店頭施策に加えて、メディアを通じて「噛むこと」への理解が浸透した影響も追い風となり、好調な販売となりました。のど飴は外出機会の増加によるセルフケア意識の高まりから需要が増加し、「クランキー」や「チョコパイ」も食感を特徴とした新製品が好調に推移しました。
 国内アイスは、例年を上回る猛暑が続いた影響で市場全体が拡大しました。当社ブランドでは、「クーリッシュ」は外出機会が増加したことで、パウチ容器の利便性から喫食シーンが拡大し伸長しました。「爽」は新製品が好調に推移し、「モナ王」もマルチパック形態が増加し、伸長しました。


― 海外事業の動向はいかがですか。
牛膓 海外についても、日本同様に人流回復が後押しとなり、好調に推移しました。アジア地域では、タイは板ガムや「トッポ」が好調に推移し、インドネシアは供給体制を強化した「チョコパイ」が伸長しました。ベトナムは「キシリトール」の伸長に加えて、現地生産による半生ケーキの販売を開始し、市場への定着を進めています。
 ポーランドの「ウェデル」は主力ブランドの販促強化で好調に推移しました。ウクライナ情勢から顕著になったインフレは、以前と比べれば落ち着いてはいるものの高水準に留まっており、消費動向などへの影響を注視しております。


― 意欲的な新領域の商品も話題になりましたね。
牛膓 新領域では、チルド商品の「生チョコパイ」が2021年発売から順調に販売エリアの拡大を進め、11月に全国展開となりました。また、冷凍酒の「クーリッシュフローズン」はイベント会場等でのテスト販売を開始し好評をいただいており、様々なロケーションでの検証を継続しています。


― 好調な上期実績を受けた、下期の取り組みについてお聞かせください。
牛膓 下期についても、上期同様に生活者を起点としたマーケティングによる、既存ブランド強化や高付加価値への取り組みを進めております。プレミアム品質や健康価値を備えた商品などに加えて、コラボ企画やZ世代から人気のタレントを起用するなど、市場への話題提供も行うことで購買意欲を高めております。

― 貴社の事業拡大と菓子市場の活性化に向け、今年はどのような施策で臨まれますか。
牛膓 2024年以降については、引き続き、共通価値の創造(CSV)に向けた取り組みを推進することで、人々の豊かなくらしに貢献してまいります。
 事業においては、「既存領域の基盤強化」と「事業領域の拡大」に焦点を当て、主力ブランドの強化や話題性の提供、サステナブルな取り組みの推進によってブランドをさらに進化させていきます。
 また、おいしさ・楽しさといった生活者の心を豊かにするお菓子やアイスの本質的な価値を伝えていくことで、日々のちょっとした幸せを感じられる取り組みを提供してまいります。
 新領域については、当社の様々な事業で蓄積してきた経験・知見を活かして、新しい価値をもった商品開発や成長領域への探索を進め、新市場への参入を果たしていきます。海外は、主力ブランドの現地市場への浸透と輸出ビジネスの拡大を強化し、生産面でも効率化や供給体制の整備を図ることで成長を加速してまいります。


― サステナビリティへの取り組みも進捗していますね。
牛膓 サステナビリティについては、コロナ禍を経て多様になった生活者の価値観にロッテらしさで応えることで、持続可能な社会に貢献する取り組みを積み上げてまいります。健康寿命の延伸を目指す「噛むこと」については、新たに咀嚼チェックアプリを開発し、咀嚼力の数値化によって日常生活の改善に役立てる取り組みを進めています。
 カカオ豆については、生産地支援の取り組みに加えて、ブロックチェーンを用いたカカオ豆のトレーサビリティの実証実験を開始し、児童労働リスクの可視化に向けて進めています。
「キシリトール」ブランドでは、幼稚園・保育園でのキシリトール習慣を目的に、専用サーバーを使用してキシリトール入りタブレットやラムネを提供する活動を行っております。今までは国内のみの活動でしたが、韓国やベトナムでテストを実施するなど、世界中の人々の健康増進に向けた取り組みを進めています。
 食育活動では、小学生を対象にお菓子やアイスを題材とした創造的思考力を育成するプログラムの出張授業を、社内公募で選出された社員が講師となって行っています。子ども達に教えることで働くことや当社の存在意義について考えるきっかけとなり、我々にとっても良い機会となっています。


― ビジョンの実現に向けた、人材活用の施策についてお聞かせください。
牛膓 これらを進めていく上では、従業員一人ひとりが持てる力を存分に発揮し、いきいきと活躍してもらうことが必要です。DEIの推進や個性・能力に応じたキャリア形成の支援などを通じて働きやすい環境づくりを行うとともに、公募制や社内ベンチャーなど自発的なチャレンジによって成長できる仕組みを提供することで、社員全員が心身ともに健康で活躍できる環境を整備していきます。
 当社は、様々なことへのチャレンジを通じて人々の心が豊かになる価値を提供し続けることで、これからも皆さまと共に持続可能な社会の実現に取り組んでまいります。本年も一層のご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます。

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