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【2024年新春トップインタビュー】㈱不二屋 代表取締役社長 河村宣行 氏2024.01.26(金)フードニュース

※本企画は「フードニュース2024年新年特集号」にも掲載しています。

生産性向上など「礎」築き、「飛躍」の年へ
洋菓子事業では新機軸の施策展開も

―― 2023の振り返りについてお聞かせください。
河村 原材料費・エネルギー価格の高騰、食品値上げに対するお客様の節約志向の高まりなど、厳しい状況が続く中、2023年12月期第3四半期(2023年1月~9月)の実績は、売上高は前年同期比104.4%と増収となりましが、利益面では製菓事業では価格改定の影響、洋菓子事業では卵不足や在庫抑制による生産高減少の影響が大きく、経常利益は前年同期比14.1%となりました。
 主力商品の1つである「カントリーマアム」は大袋タイプが苦戦した一方、「ホームパイ」等は堅調に推移、また、9月には「カントリーマアムチョコまみれミドルパック」「ホームパイチョコだらけミドルパック」の増量企画を実施し、10月・11月の売上は急回復しました。このほか、1935年に販売開始したロングセラーブランド「ハートチョコレート」では、1974年以来となるTV-CMを投入するなどプロモーション施策が奏功し、売上が伸長しました。
 洋菓子事業でも、9月に「はじまるよ、新しい不二家」をテーマに洋菓子店のVI(ビジュアルアイデンティティ)を刷新し、各種営業施策を着実に実践・実行することにより、売上は急速に回復し、10月・11月も良い傾向が続いています。


―― 「ハートチョコレート」は現在貴社が発売しているお菓子の中では、最も長い歴史のあるブランドですね。こうした商品が大きく伸長した要因は何でしょうか。
河村 2023年に発売88周年を迎えた「ハートチョコレート」ブランドでは、9月26日にチョコクリームをウェファースでサンドし、なめらかなミルクチョコレートでコーティングした姉妹商品「ショコラウェファース」を発売しました。
 また、同発売に合わせ、プロゴルファーの菅沼菜々選手を起用した新TV-CMの全国放映を開始。「ちいさなありがとうの気持ちを伝えるチョコレート」といった同ブランドのイメージが菅沼選手を通じて伝わり、新規購買層の獲得、また、再想起して手にとってもらえる機会に繋がったと考えております。


―― このほかのロングセラーブランドも伸長が続いていますね。
河村 「ミルキー」ブランドは2021年に発売70周年を迎え、2022年に上白石萌音さんをブランドキャラクターに起用し、“いやし”をコンセプトとした施策を展開し、2023年も好調に推移しました。
 このほか「ポップキャンディ」、「ルック」といったロングセラーブランドも、リニューアルや新フレーバーの投入とともに、タレント等を起用したCM、ブランドのコンセプトやイメージを伝えるプロモーショーン施策により、若い世代を中心としたお客様への訴求力が高まり、伸長しています。


―― 「カントリーマアム チョコまみれ」が大ヒットし、2022年には姉妹商品「ホームパイチョコだらけ」を発売するなど、ロングセラー商品に新たな価値を付加した商品が、貴社の業績、また、業界のトレンドを牽引してきました。
河村 2020年に全国発売を開始した「カントリーマアム チョコまみれ」をはじめとし、派生商品も含め、“ちょこまみれワールド”の商品や世界観、キャラクターに愛着をもっていただける方々が増えていることをうれしく思っております。
 一時期は生産が追い付かないほどのご発注をいただきご迷惑もおかけしましたが、2022年10月にラインを新設し、増産体制を整え、現在は最新設備により、ロス軽減、省エネ、品質向上を実現し、生産しています。
 11月に、セブン-イレブンで限定発売を開始した「カントリーマアム まみれさん追いかけて雪国」は、SNSを中心に話題となりました。今後も皆様に喜んでいただける商品を開発できるよう、取り組みを進めてまいります。


―― 洋菓子事業においては、独自性の高いスイーツ自販機の展開をはじめられましたね。
河村 冷凍スイーツ自動販売機「FUJIYA CAKE’s STAND」を、不二家洋菓子店・不二家レストランの一部店舗に6月末から順次設置してきました。
 半解凍でアイスケーキのように、冷蔵温度ではチルドケーキとして楽しめる「セミフレッドクリーム」を使用しており、24時間365日、気分に合わせて不二家のスイーツを楽しんでいただけます。
 2024年度から実績に本格的に貢献するものと期待してます。当社関連店舗だけでなく、スーパーマーケットや大学、駅施設など様々な場所・シーンでニーズがあると考えており、今後も拡大に向けて注力していきます。
 このほか、近くに不二家洋菓子店がない地域にお住まいのお客様もケーキや限定お菓子をお楽しみいただけるよう、10月に全国宅配や店頭受取予約ができる予約受付サイト「FUJIYA Sweets.com」をオープンしました。


―― 海外展開施策についてお聞かせください。
河村 現在、中国において連結子会社「不二家(杭州)食品有限公司」の工場において、棒付きポップキャンディ等を製造し販売しておりますが、新たな軸となる地域としてベトナムでの取り組みを進めています。
 ビスケット・クッキー市場の成長が期待される同国への本格参入に向け、2022年に丸紅㈱との合弁会社「FUJIYA VIETNAM CO., LTD.」を設立しました。現在、「カントリーマアム」を中心とした輸入販売を行っており、非常に好調に推移しております。今後、さらにシェアを拡大することを目指し、同国で新工場を建設・稼働する予定です。
 一方、北米市場については、自動販売機で発売している冷凍スイーツの展開に、大きな可能性を感じております。


―― 2024年はロングセラー飲料「ネクター」が発売から60周年を迎えられますね。
河村 「ネクター」を中心とした当社の飲料商品や果実加工品を製造してきた㈱不二家福島では、2022年に新工場棟を建設し、新たにグミの生産ラインを導入しました。今年は発売60周年を迎える「ネクター」の味わいを楽しめるグミを発売するなど、長年培ってきた果実のおいしさを最大限に活かす技術力を、グミの商品開発に活用していきます。


―― 最後に今年の展望をお聞かせください。
河村 2022年の売上・利益ともに好調であった中、当社・山田憲典会長は2023年の年頭の書初めで「礎」と書しました。振り返ってみると環境変化が激しい中、体質強化や生産性向上を図るなど、まさに土台を固める1年となりました。
 製菓、洋菓子、また、海外と新たな成長の可能性を秘めた事業は多くあります。2024年は築いた礎を土台に次の成長に向け、「飛躍」する1年となるよう、邁進してまいります。

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