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異業種コラボ最前線 春日井製菓「おかしなサマースクールin愛知」2025.01.27(月)フードニュース

※本企画は「フードニュース」2025年新年特集号にも掲載しています。

 近年、菓子メーカーと異業種企業とのコラボレーションが活発化し、菓子の新商品のみならず、雑貨やファッションアイテム、居酒屋のメニューまで、多彩な展開により新たな価値を創出している。多くは「モノ」づくりが主体だが、春日井製菓が昨年28社と共催した「おかしなサマースクールin愛知」は、「コト」づくりに取り組むことで、各社の社員の絆が深まり、互いの商品やサービスへの愛着が増しているという。

 昨年2回目の「おかしなサマースクールin愛知2024」では、春日井製菓を含む多業種29社が愛知に集い、夏の1ヶ月間に子どもと大人向けに12種の一風変わった学びイベントを開催した。「全身全霊絶叫際」「おとなの手紙教室」「おかしな団地の文化祭」「畑と古民家で真夏の満腹参観日」など、イベント名からしてユニークで、8月の1ヶ月間で延べ900人を動員したという。秋には名古屋駅前の映画館を会場に、各社から35人が登壇して夏を総括するイベントを一般向けに開催し、家族や同僚や取引先が300席を埋めた。
 編集部も取材に赴いたが、お菓子の宣伝もないイベントを異業種の企業と行うことに、どんな狙いがあるのか。この活動を発案した春日井製菓・「おかしな実験室」の原室長に聞いた。

(写真左より)「おかしな団地の文化祭」会場で、イベント参加者とガッチリ握手。「全身全霊絶叫祭」。星ヶ丘テラスの広場に魂の絶叫が響き渡り、絶叫後の清々しい気分を味わった。「畑と古民家で真夏の満腹参観日」。子どもたちの瞳がキラキラと輝く

 「商品を購入する理由が変わってきています。味や量や価格などに大きな差異が出にくい菓子カテゴリーにおいても、『私を応援してくれるから』や『この会社の人を知っているから』など、共感や体験を理由に挙げる人が増えています。公益社団法人日本マーケティング協会が、昨年1月に34年ぶりに刷新したマーケティングの定義にもこの変化は見て取れます(図1)。

  多くの企業が、SNSやイベントを通してエンドユーザーとの接点を増やし、交流や共創に注力しているのは、その方が心に残り、選ばれる確率が高まるから。でも、「選んでください」と迫ったところで選ばれるわけではありません。だから私たちは、各社が持つ強みを掛け合わせ、面白おかしい形で地域の方々にお裾分けする時間を提供することにしました。
営利企業におけるこうした取り組みは、とかく売上には無関係と思われがちですが、実際にはいくつもの参画企業が売上も社員のやる気も上げ、地域貢献も果たしました。このコスパとタイパの良さが理解され、2025年の参画企業数は40社程度に拡大する見込みです」(原室長)
去年の参画社の一つ、コクヨマーケティング(株)中部支社の中川さんはこう振り返る。
 「トップダウンではなく、各自が自発的、主体的に役割を果たし、柔らかな目的のもとイベントを創り楽しむ経験を通じて、異なる目的や価値観を持つ人々が協働できる新たな共創のカタチを体験できたことが、大きな成果です。企画会議の様子を私の上司が見て『ウチの目指す姿がここにあるな~」と言った事が印象に残っています」
 今年は夏だけでなく通年で学び合うコミュニティに、規模も内容も充実化を図るという。愛知で始まる新たなマーケティング手法から目が離せない。

コクヨマーケティング・名古屋ライブオフィスにメンバーが集結し、オンラインも併用して開催された第2回画会議

*「おかサマ」公式サイト:https://www.kasugai.co.jp/aichi_summerschool

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