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伝統で終わらないこんぺいとう2021.04.30(金)日常

白に黄色にピンク。カラフルで可愛い“こんぺいとう”。

私はこんぺいとうを見ると、昔少女漫画で読んだワンシーンを思い出します。誕生日に星を欲しがった女の子に、幼馴染の男の子が星の代わりにこんぺいとうをプレゼントし、それ以来、女の子にとってこんぺいとうが心の支えになるという、そんな胸がキュンとするシーンでした。その形から星に例えられることも多いこんぺいとう。星だけでなく、アジサイの花に見立てられることもよくありますよね。見た目の愛らしさと甘い素朴な味わいに、乙女心がくすぐられるお菓子です。

こんぺいとうの由来は、ポルトガルの「confeito(コンフェイト)」というお菓子。南蛮菓子として、室町・戦国時代の頃、日本にやってきたのがはじまりといわれています。しかしながら、調べてみると、ポルトガルのコンフェイトと日本のこんぺいとうでは、だいぶ違いがあるそうです。コンフェイトはビビットカラーで、食感もこんぺいとうのようなカリッとかみ砕けるようなものではないのだとか。日本に入ってきてから、日本人の味覚や感性に合わせて進化を遂げ、今では日本の伝統的な和菓子のひとつとして定着しているのですね。

さて、そんなこんぺいとうですが、最近ちょっと変わり種が発売されました。

それが春日井製菓さんの「塩こんぺいとう」です。

見た目はほかのこんぺいとうと変わらず、黄色と白とピンクの可愛い形をしています。

正直食べる前は、塩といっても味はそんなに変わらないだろう、と思っていました。ですが、これが1粒口に含んでびっくり! 甘味よりも先に、ほんのりとしたしょっぱさを感じるのです。こんぺいとうといえば、砂糖の甘さがガツンとくるイメージですが、それを良い意味で裏切られました。塩気を感じた後に、それぞれの味(塩レモン味、塩味、塩うめ味)が甘味と一緒に感じられ、手が止まらなくなってしまいます。

個人的にはピンク色の塩うめ味がイチオシ。梅の爽やかさが口に残って、癖になります。今まで食べてきたこんぺいとうと違う味わいになっており、こんぺいとうの可能性に驚きました。

こんぺいとう=甘い砂糖菓子という固定概念を覆してくれた春日井製菓さんは、1928年創業の名古屋のお菓子メーカー。キャンディやグミ、豆菓子など、昔懐かしいお菓子を数多く作っています。もちろんその中には、通常のこんぺいとうもあり、春日井製菓さんの生産技術の高さは、業界内でも有名なのだとか。伝統技術を保ちながら、どうやって新しいこんぺいとうを作り出したのでしょうか。

その秘密は、春日井製菓さん独自のプロジェクトの進め方にありました。

製菓に限らず、多くの会社では営業なら営業、生産なら生産と、それぞれの専門部署が担当するのが一般的です。しかし、春日井製菓さんは、生産・企画開発、さらには営業まで部署間の垣根を超え、それぞれの立場から意見やアイデアをぶつけあうことで、新しい商品を開発しています。

そうすることで現代のニーズに合わせた商品開発ができるのだそうです。伝統のある商品や培った技術を大切にしながらも、そこに留まらず、新しい挑戦を続けた結果が「塩こんぺいとう」に繋がっているんですね。

今回は、昔懐かしい“こんぺいとう”を進化させた春日井製菓さんの「塩こんぺいとう」をご紹介させてもらいました。甘さとしょっぱさの絶妙な加減に、しばらくハマってしまいそうです。

参考:『フードニュース 2021年3月号


倉田もなか(ライター)

ゲームのシナリオをメインにライター活動を行う。

甘い物に目がなく、食べることが好き。仕事のお供にチョコは欠かせない。

春日井製菓さんの「ミルクの国」や「花のくちづけ」は小さい頃によく食べていた。

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