購読申込

【人財活躍イノベーション】春日井製菓2025.06.25(水)フードニュース

※本記事は「フードニュース6月号」にも掲載しています

 2024年、ハードキャンディの売上伸長を牽引した「のど飴」。各社の主力ブランドがしのぎを削る中、競合ブランドを上回る2ケタの伸長率を達成したのが、春日井製菓㈱(本社名古屋 春日井大介社長)の「キシリクリスタル」だ。
「キシリクリスタル」は2001年の誕生以来、すっきりした甘さと、3層構造の真ん中にあるキシリトール層のひんやりが特徴的なノンシュガーのど飴として人気となった。発売後20年を経過し、今後のブランドの方向性を模索する中で、「ファンとの共創」を打ち出し、「ファン味開発部」による新商品開発、ファンクラブ「キシリーズ」の立ち上げ、ブランド公式Xの開始、「キシリクリスタルの日」(3月3日)の記念日制定など、ファンとの絆を深めながら、商品ラインアップの拡充とブランド認知度の向上を推進してきた。現在はファンとの交流をキシリクリスタル公式Xに一本化している。
「こうしたファンとの共創に取り組みながらの昨年の成長は、のど飴市場拡大の機会を的確に捉えたことに加え、2024年に実施したブランドロゴとパッケージデザインの刷新効果が大きかったと考えます。従来の情緒的な印象が強いデザインから、『のど飴』であることを明確に打ち出したことで、『キシリクリスタル』ののど飴としてのポジション強化につながり、休止層の再活性化ができました」と、担当の原口さん(マーケティング部)は話す。

(写真左)食品・菓子メーカー2社を経てマーケティング職を志望し、2023年4月に春日井製菓に入社。「キシリクリスタル」担当として、ブランドの戦略立案から商品企画、広告プロモーション実行、ブランド公式Xまで幅広く担当。(写真中央、右)「ファンイベント」での原口さん。ファンからの言葉に胸が熱くなる。「クイズ大会」では難問にも正解者が続出し、ファンの熱量を実感


 原口さんは2023年末から「キシリクリスタル」のブランド担当となったが、初の参加となったファンイベントでは、「実際にファンの方と初めてお会いして、正直、私のほうが緊張してしまって」と、戸惑うこともあった。しかし、「『ずっと好きで、新商品が出るたびに全部写真撮っています!』と言っていただき、こんなにも『キシリクリスタル』を愛してくれる人がいるのだと実感できました」と、ファンとの触れ合いでしか得られないものに気づいた。そして、「こういう方々に、もっと笑顔を届けたい」「もっと喜んでもらうにはどうすればいいだろう」と、仕事への意欲を高めるきっかけにもなったという。

クリスタル ケイさんの美しい歌声とともに、サウンドロゴの好意度アップに大きな効果があったWEB CM。夏バージョンでは「凍らせてもおいしい!」を訴求

 こうしたファンの熱量に応え、昨年の2ケタ成長の勢いを加速させるべく、原口さんは①クリスタル ケイさんを起用したWEB CM ②夏場の“凍らせて食べる”新たな食べ方提案を、2025年の重点施策として用意した。
「インターネットで簡易調査を行ったところ、かつてCMで使用した『キシリクリスタル~♪』のサウンドロゴの認知度や好意度が高く、これを活用してブランドを思い出してもらおうと考えました。そして、のどとの親和性から歌唱力もあり、イメージに合う方として、『クリスタル ケイさんがぴったりだ』と。お名前の響きからも、『なぜ今まで起用しなかったのか』と思うほどでした」
 真夏の暑い日に、日陰のない大草原で行われたWEB CM用の動画撮影。過酷な環境にも嫌な顔ひとつせず、爽やかに演じきったクリスタル ケイさんのプロフェッショナリズムに感動したという。また、「監督や現場スタッフのこだわりを間近で見て、『細部に魂を込める』という意味を実感しましたし、それは商品開発にも通じること。私の仕事もそうありたいと強く思いました」
 1月から公開したWEB CMは、15秒のCM内で商品特徴を伝えきるという点で課題を残したが、サウンドロゴの好意度アップには大きな役割を果たし、ブランド全体の売上にも貢献している。
そして5月末からは「凍らせて食べる」という新たな食べ方を提案。この取り組みは昨年の消費者調査で明らかになった、のど飴を冷凍庫で保管するという消費者の行動にヒントを得たという。「キシリクリスタル」を凍らせることで、ひんやりアップ、途中で噛んだ際も新たな食感が体験できる。
「のど飴需要が落ち込む夏場において、キシリトール層のひんやりという特徴から『キシリクリスタル』は他のブランドに比べ減少幅が少ないという強みがあり(上の図参照)、『凍らせて食べる』提案により、新たな喫食機会の掘り起こしを狙います。夏バージョンのWEB CMと夏限定のパッケージを同時展開し、夏場にも売れるブランドを目指します」と意気込む。
 実は春日井製菓のマーケティング部は主に1人で1ブランドを担当。原口さんは「上司や他部署とも密に協力することで進められています。さらに意思決定が早く、やりたいことを上司に直接伝えやすいメリットもあります。大きな仕事も任せてもらえますし、『失敗しても、次に活かせばいい』という社風にすごくやりがいを感じます」と声が弾む。組織の後押しを受けながら、個の力を最大限に発揮して切り開く、「キシリクリスタル」の未来は明るい。

「キシリクリスタル ミルクミントのど飴」「同 フルーツアソートのど飴」「同 ハニーアソートのど飴」の計3品体制。「凍らせてもおいしい!」を大きく訴求した夏バージョンのパッケージ

この記事をシェアする