国際総合食品見本市「ANUGA 2023」 開催。ドイツ・ケルン現地取材レポート2023.11.25（土）フードニュース

※本記事は「フードニュース11月号」の現地取材レポートより抜粋したものです。

　欧州最大級の国際総合食品見本市である「ANUGA 2023（アヌーガ2023）」が、10月7日～10月11日の5日間にわたり、ドイツ西部のノルトライン・ウェストファーレン州ケルン市のケルンメッセで開催された。

　同展示会は隔年開催しているもので、10の専門見本市で構成している。菓子・スナック製品、アイスクリーム、ベーカリー、冷凍食品、精肉、デリカデッセン、チルド製品、ドリンク、健康食品など、食品全般を網羅。118カ国から約7900の出展社が集い、200カ国から約14万人の来場者が訪れた。

　今年の「アヌーガ」は、食品業界における経済成長とサスティナビリティの両立に向け、「持続可能な成長」を主要テーマに掲げて開催。世界の食料システムを持続的に改善する新製品、また、革新とソリューションの必要性はこれまで以上に高まっているとし、各出展ブースでは「持続可能な成長」に資するアップサイクル製品等の展示とともに、食品廃棄物の削減に向けた取り組み、フェアトレードの取り組みなど、各社が自社の“価値観”や“信念”をパネルやポップで全面的にアピールしているブースも目立っていた。

　新たなトレンドと革新的な製品が展示される「Anuga taste Innovation Show（アヌーガ・テイスト・イノベーション・ショー）」は同展示会の目玉の1つだ。合計で689社以上の企業から2200を超える製品・アイデアの応募があり、審査員によって選ばれた68製品が展示され、その中から上位10製品が選ばれた。10製品は下記の通り。（商品名/企業名/国名ーの順）

＜The top ten innovations（上位10製品）＞

　

　上位10製品のうち、ベッタフィッシュ社（本社ドイツ・ベルリン）の「BettaF!sh TU-NAH Can（ベッタフィッシュ・ツナ缶）」は、海藻を用いた「魚」の代替製品として高い注目を集めていた。欧州等では海藻を喫食する文化はこれまであまりなかったが、ミネラルを豊富に含む点など健康面、また、乱獲による影響が懸念される水産資源に代わるものとして持続可能性といった面からニーズが高まっている。また、環境面でも海藻等によるCO2吸収、いわゆる「ブルーカーボン」の注目度が高まりつつあり、サスティナビリティに貢献する原材料としても訴求力が強まっているようだ。

菓子・スナック分野　健康訴求、アジアの素材・フレーバーで価値訴求

　世界各国から集った菓子・スナック分野関連の企業によるブースでは、グルテンフリー、シュガーフリー、代替タンパク質、アップサイクル、クリーンラベルなどといったトレンドが取り入れられた独自性の高い新製品が多く展示されていた。

　Pranosh Food 社（ドイツ）は“マカナ（ハスの実）”をローストし、ポップコーンのようなスナック感覚で喫食できる「Just Nosh」を発売。マカナをローストした商品は、インドでポピュラーな菓子として定着しており、タンパク質、カルシウム、繊維が豊富で栄養価が高く、スーパーフードとしての注目度も高まっている。