購読申込

新しい喫食提案 グミとワインのマリアージュ 2022.06.30(木)フードニュース

第1回
甘めのソフトグミ×甘めワインで
夏の夜に新しいマリアージュ体験を

食べ物とアルコールの組み合わせや相性が話題になることが多い。特にワインの場合、料理やデザートとの好相性を“マリアージュ(結婚)”と呼び、食通の間では常にテーマになっている。その習慣になぞらえて、お菓子とワインのおいしく、楽しい組み合わせを試し、探して、新しい喫食スタイルをカジュアルに提案していくのが、この不定期連載企画のミッションだ。
今回、㈱山星屋のオウンドメディア「お菓子と、わたし」、国分グループ本社㈱の同「ぐるっぱ」、そして弊誌&弊社HP連動の座談会企画を立ち上げた。
第1回目のテーマは「グミ」。本格的な夏を目前に、グミとワインの組み合わせと、それらを楽しむシーンの提案について探ってみた。

事前の予想をくつがえす     

新鮮な組み合わせが続々

F 一般で“料理とワインのマリアージュ”、つまり相性や組み合わせが、よく話題になりますが、この不定期座談会ではお菓子とワインのマリアージュを試していきます。料理と同じように、お菓子とワインにも“おいしい組み合わせ”があると思うので、ミッションとしてはそれを探し、掘り下げて、今まで以上にお菓子の喫食機会を広げていきたいと。初回は、人気のお菓子「グミ」をテーマに行います。
 今回はハードからソフト、甘いものから酸っぱいものまで、15種類のグミを取り揃えました。また、ワインもアルコール度の異なるドライな赤・白を各2本ずつ。それから微発泡でやや甘めの赤ワインも加えて5本用意しました。
15種類のグミと5本のワインのマリアージュをすべて試しながら、グミに関してはマトリックス分布(前ページ図参照)を決めましたが、みなさんは全体にどんな感想を抱かれましたか。
Y まず、グミを軸に考えたとき、私はどれも問題なく楽しめたのですが、その中でワインと最も合うなと感じたのは「くだもの屋さんグミ」(14)で、次に「ピュアラルグミ ぶどう」(06)でした。その理由としては、どちらもワインの味や香りを邪魔せず、グミ自体もとてもおいしく、食べやすかった。
 一方、ワインを軸にすると(D)の辛口赤ワインはNGが少なく、合わせやすかった印象です。
K 今回のマリアージュを試す前、個人的にはぶどう味のグミが合うだろうなと予想していたのですが、それほどでもなかったのと、ワインをコーラで割る飲み方があるので、コーラ味は合うかなと思っていたのですが、事前の予想とは印象が異なり、少し驚きました。でも、“グミとワインの相性を探っていくのは奥が深そう”と、興味が湧いてきました。
 それから、Yさんと同じように、「くだもの屋さんグミ」(14)には好相性のワインが多く、全般的に合うと思いました。また、同じことは「ピュアラルグミ パイン」(05)と「マロッシュ レモンスカッシュ味」(08)にも当てはまるように感じました。口に含んだときの第一印象と、飲み込んで香りが抜けていくときの後味が違和感がなくマッチしたのは、この2つでした。それから「マカロングミ」(13)も、その甘さがワインによく合いますね。
Y 私もそう思います。
F 私は、ワインを軸にすると、圧倒的に(E)の微発泡赤ワインがグミとの相性がよく、合わないグミはほとんどありませんでした。感じとしては、Kさんが言うように、ワインがやや甘めということがポイントなのかなと。赤ワインですが、ほのかに泡立つので重たくなく、軽快なサッパリ感があるので、口の中でもたつかず、グミともやわらかく溶け合った印象があります。
 白ワインで低アルコールの(A)も、ほどよい酸味でスッキリ感がある「ピュアラルグミ パイン」(05)と、口の中で心地好く混じり合って、おいしいマリアージュだなと感じました。
 グミを軸にすると、Kさんが言うように、酸味が強いものよりも甘めのもの、食感ではハードよりソフトなものが、グミとワインが互いによく溶け合う印象がありましたね。
K 私もワインは微発泡で赤の(E)が最もグミに合っていた印象があります。特に「くだもの屋さんグミ」(14)とのマリアージュ評価は高かったですね。印象としては、糖衣が施してあるものや、酸っぱいフレーバーがまぶされているものは組み合わせにくく、食感としてはやわらかめのものが馴染みやすい。
Y きっと、糖衣がなく、センターに何も入っていないような、比較的シンプルなグミが、ワインに幅広く合わせられるのかもしれませんね。
F もちろん個人的な好みはありますが、新たなグミの喫食提案としては、甘めでシンプルなグミと甘めのワインの組み合わせがあるようですね。食感としては、硬いものよりやわらかめのもの。私も甘めでやわらかいグミが、今回の(E)のようなセミスイートなワインと口の中で溶け合いながら膨らむ印象があり、フレーバー的にも重なり合うので、周りの人にすすめやすいかなと感じました。

冷えたワインとグミーー     

夏に向けて楽しみ広がる

F おいしく感じられる組み合わせをいくつか提案できそうですが、では、それらは誰と、どんなシチュエーションで味わったら楽しそうですか。もしくは、どんな楽しみ方を試してみたいでしょうか。
Y 知り合いの女性が、コロナ禍で友だちとの食事が難しかったことから、オンラインで飲み会をやることになり、おすすめのおつまみとお酒をセットにしてお互いに贈り合い、それで忘年会をやったらしいのです。このように、例えば自分がおすすめしたいグミとワインを贈って、一緒に飲みながら感想を述べ合うような、オンラインマリアージュをやってみるのはおもしろいと思います。
K そういうふうに、互いに贈り合う場合、自分では思いつかない“意外な組み合わせ”にも出会えると思うので、ぜひ、やってみたいですね。
Y あとはゲーム感覚で「合う」「合わない」を言い合うことでも、新しい発見がありそうです。やはり個人差があるので、自分の予想や感じ方とはかなり違っていたりする。それをストレートに言い合うのも、友だち同士ならではの楽しさがありそうですね。
 今回はミッションだから、生真面目になりましたが、私は普段は自分を解放するためのスイッチとしてお酒を楽しむので、きっとゆったりくつろいだ気分で、グミの新しい食べ方を楽しめるのではないかと思います。
K 個人的にはチェアリング(=愛用の折りたたみ椅子を公園などの屋外に設営し、飲食や読書、会話などを自然の中で楽しむこと)をやっているので、軽いハイキングやピクニックといった、自然が感じられる屋外は、グミとワインを楽しむのにうってつけですね。
F 冷えた微発泡の赤ワイン(E)を屋外で楽しんだら、きっとリラックスして身体も気分も緩みますね。そのときに、定番のナッツやチーズでなく、軽めの甘いお菓子があったら、食べながら気分も軽くなってハッピーになれそう。その意味では、どんなシーンでも手軽に食べられるグミは、とても相性のいいアイテムだと思います。
Y これから本格的な夏になるとグミは溶けがちだったりするので、昼間よりも夜の方がいいような気がします。ワインもキンキンに冷やして、涼みながら楽しむようなシチュエーションがいいのかなと。
F 真夏の熱帯夜に、ナイトプールで楽しむのもアイデアかもしれませんね。
 今回、3人の結論としては、シンプルで甘めなソフトグミと甘めなワインの組み合わせ。次回も新しい発見がありそうで楽しみになってきました。

今回、グミとのマリアージュを試した5本のワイン。左から、A サンタ・ヘレナ・アルパカ・デライト・ホワイト (白)、B ドン・ロメロ・ブランコ(白)、C サンタ・ヘレナ・アルパカ・デライト・レッド (赤)、D ドン・ロメロ・ティント (赤)、E パスクア・ランブルスコ・デッレミリア (赤・微発泡)
今回、マリアージュ用に集められたグミ。フレーバー、味わい、食感、形状もバラエティ豊かな15種類

お菓子とワインのマリアージュ選定委員会

Y(山星屋代表):「お菓子と、わたし」編集部 兼 ライター

K(国分グループ本社代表):酒類全般&チェアリング愛好家。日本ソムリエ協会(J.S.A.)ソムリエ/SAKE DIPLOMA

F(フードニュース代表):弊誌編集部。ワイン&音楽愛好家。日本ソムリエ協会(J.S.A.)ワインエキスパート、J.S.A.ワイン検定ブロンズクラス・シルバークラス認定講師

■グミ
01.コロロ グレープ 02.コロロ ソーダ 03.コロロ コーラ(以上、UHA味覚糖) 04.ピュアラルグミ りんご 05.ピュアラルグミ パイン 06.ピュアラルグミ ぶどう(以上、カバヤ食品) 07.マロッシュ グレープソーダ味 08.マロッシュ レモンスカッシュ味(以上、カンロ) 09.しゃりもにグミ ヨーグルト味(ブルボン) 10.JAほこたメロングミ 11.JA広島果実連れもんグミ 12.JA紀南うめぼしグミ(以上、モントワール) 13.マカロングミ 14.くだもの屋さんグミ(以上、やおきん) 15.ヨーグレットグミ(明治)

■ワイン

A サンタ・ヘレナ・アルパカ・デライト・ホワイト( 白)
チリ アルコール度5.5% 
ドライですっきりとした爽やかな飲み口。バランスの取れた酸味、柑橘やハーブの清涼感ある香りが口の中いっぱいに広がる

B ドン・ロメロ・ブランコ(白)
スペイン アルコール度10.5% 
フレッシュでややドライな飲み口。青りんごや洋梨などのニュアンスが感じられ、イキイキとした酸味が心地好い

C サンタ・ヘレナ・アルパカ・デライト・レッド(赤)
チリ アルコール度5.5% 
すっきりとしたドライな飲み口。輪郭のハッキリした渋みがあり、熟したブラックベリーやカシスの香りを感じる

D ドン・ロメロ・ティント (赤)
スペイン アルコール度13% 
ドライな飲み口。野いちごのようなベリー系果実の甘い香りとココアのニュアンスが混じり、やや野性的な渋味と丸みを帯びた酸味がバランスよく広がる。アタックが強めで、余韻も長め

E パスクア・ランブルスコ・デッレミリア(赤・微発泡)
イタリア アルコール度7.5% 
ほのかに泡が立ち、やや甘めで軽やかな口当たり。赤ワインならではの心地好いコクが、ジューシーさを感じさせながら口中で膨らむ

※今回の座談会と同じ題材でを使った企画が「お菓子と、わたし」にも掲載されています。

この記事をシェアする