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【新社長インタビュー】岩塚製菓㈱ 代表取締役社長COO 槇 大介 氏2023.08.25(金)フードニュース

※本企画は「フードニュース8月号」でも掲載しています。

100年企業へ、「BEIKA Lab」で新価値創造

―― 今年6月29日に社長COOに就任されました。改めて就任の抱負をお聞かせください。
 当社は「岩塚農産加工場」として1947年に創業してから、76年が経ちます。私の1番の使命は、創業の精神を羅針盤とし、米・米菓文化を継承して人々に喜びと豊かさを提供し、発展的に100年、120年と続く企業としていくことだと考えています。
 長きに渡りご愛顧いただいているお客様と、より強固な関係を構築するとともに、経営基盤の強化を図っていきます。そして、“お米となかよし”企業として、「日本のお米100%使用」をはじめとした当社らしさを貫き、高付加価値製品を提供していく所存です。
―― 前期(2023年3月期)の実績と、今期第1四半期の動向はいかがでしょうか。
 前期決算の売上高は、対前年比113%で着地しました。増産要請等に応えるべく、主力ブランドの“TOP6+2”(※1)の拡売に注力し、これらの売上高も2ケタ伸長となっています。一方、収益面では原材料費、電力・燃料費の上昇の影響が重くのしかかりました。
 今期第1四半期については、引き続き、エネルギーコストや原材料費の上昇・高止まりといった厳しい環境が続く中、独自性の高い「大袖振豆もち」や、ファンとともに作り上げた「THE ひとつまみ」、また、CVS向け商品が売上を牽引し、増収・増益となっております。


「田舎のおかき」の生産設備増強

―― 主力商品「田舎のおかき」シリーズも人気となっているようですね。
 「田舎のおかき」シリーズは、厚めの生地を独自の製法で焼き上げた商品で、オリジナリティが高く、付加価値が高い商品として認知していただいております。ただ、多くの受注をいただき、生産が追い付かず、出荷調整を行うなど、お客様にご迷惑もおかけしました。
 この秋口には、同商品の増産設備の稼働を開始します。当社では、もち製品のシェアを高めることを目指しており、同設備増強により、需要を捉え、売上が伸長していくことを期待しています。
―― 新機軸の商品施策についてはいかがでしょうか。
 日本のお米とイタリア料理が融合した“新しいBEIKA(米菓)”として、銀座「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ」の落合務シェフ監修の「RISOUNO!」を発売しました(※2)。
 喫食された方々からは、高い評価をいただいており、ロングセラー商品には無い“米菓の新たな価値を提供する商品”、ひいては、“米菓全体の活性化に寄与する商品”として育成していきたいと考えています。今後、間口を拡げる取り組みが重要であり、従来の米菓の棚に捉われない売り場展開を目指してまいります。
 同商品は、約1年半の開発期間を経て発売しました。当社開発メンバーが落合シェフと商品開発ミーティングを重ねていく中で、新たな発見や学びが多くあり、今後の商品開発に繋がる経験を得ることができたことも大きな収穫でした。
 今後も、最新鋭の「BEIKA Lab」での研究開発機能を最大限に活用し、付加価値の高い商品開発を進めてまいります。
―― このほか、今年のグループ会社の動向や海外展開についてお聞かせください。
 贈答品を中心とした米菓を販売する㈱瑞花、また、通信販売等を行っている㈱新潟味のれんの売上は好調に推移しており、今後も手土産・通販の需要を喚起し、2021年に竣工した長岡新工場の稼働率を高めていきたいと考えています。
 海外展開については、今年秋から海外専用商品の販売をスタートします。
 また今年は、ベトナム・ホーチミン市で、長年協働してきた「旺旺集団」との共同出資で建設した「旺旺・ベトナム」の工場が稼働を開始しました。米菓製品の生産にあたり、当社から技師を派遣しており、同工場がアジア市場のマザー工場的な役割を担い、同市場の開拓と深耕が図られていくことを期待しています。
―― 農業の支援・育成に向けた取り組みについてはいかがですか。 
 国産米使用にこだわり続けることが当社のできる1番のサポートだと考えています。新潟県内の農家との加工用もち米「ゆきみらい」の栽培契約にも取り組んでおり、今後も施策を進めていきます。
―― 最後に今後の展望についてお聞かせください。
 お米と向き合いながら成長してきた会社ということに誇りを持ち、国内米菓メーカーの中で、光輝く企業になりたいとの思いがあります。
 昨年新設した「ソーシャルコミュニケーション室」等を通じてお客様との接点が拡大しており、今後も当社の価値を発信し続けることが重要だと考えています。
 国内では、人口減少・少子高齢化に伴い、米菓市場の市場縮小、競争の激化が予測できます。“新しい岩塚価値”の米菓を展開し、海外輸出等も進めるとともに、「米菓」から「食」といった事業領域に広げていくことも意識しながら、経営してまいります。

※1 TOP6ブランド=「岩塚の黒豆せんべい」「味しらべ」「田舎のおかき」「THEひとつまみ」「大袖振豆もち」「ふわっと」。+2ブランド=「バンザイ山椒」「きなこ餅」

※2 昨年12月に紀ノ国屋・都内ポップアップストアで期間限定発売。今年2月6日CVS先行発売。3月6日一般発売開始

岩塚製菓公式サイト:https://www.iwatsukaseika.co.jp/

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