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【新素材特集・藻類】企業インタビュー・㈱アルガルバイオ 代表取締役社長CEO 木村 周 氏2022.08.25(木)フードニュース

※本企画は「フードニュース8月号」でも掲載しています。

ニーズに対応し、多種多様な藻類を提案

―― 御社の概要についてお教えください。
木村 当社は、微細藻類研究を産業利用して「人々と地球の未来に貢献する」との想いから、現・取締役CSOの竹下毅が2018年に創業した、東京大学発のベンチャー企業です。食品や健康・美容用品、またCO2の吸収源対策への利用など、市場やお客様のニーズに対して、必要な機能を有する藻類を提供する「藻類開発プラットフォーム」として、マーケットイン型のビジネスを展開しております。

―― 事業のイメージ、直近の実績についてお聞かせください。
木村 まずは、お客様からニーズをお聞きした上で、要件を満たす藻類株のスクリーニングを行い、併せて培養技術の研究・開発を実施します。ラボレベルの研究、パイロット試験などを経て、2~4年程度のスパンで商用化に必要な「藻類技術パッケージ」を提供するスキームです。
 昨年度(2022年2月期決算)は11件の企業様と取り組みを実施しました。また、創業当初に取り組みをスタートした企業様については、開発の最終段階となっているものもあります。

―― 国際的に見ても稀有なビジネスを展開されていますね。
木村 自然界には約30万種の藻類が存在していると考えられていますが、産業利用されているものは現在30種程度です。また、国内外問わず産業利用している各企業が取り扱う種株は1株~数株程度で、ほとんどが単一の藻類に着目し、製品を展開するプロダクトアウト型のビジネスとなっています。
 一方、当社は数百株のライブラリーを保有しており、今後も拡充してきます。多種多様な藻類ライブラリーの中から、機能性や事業スケールを踏まえ、最適な種株をご提供させていただきたく思っております。

―― 菓子類への藻類の活用については、どのようにお考えですか。
木村 ウェルビーイング等の消費者意識が高まるなか、天然由来であり、かつ健康に対する機能性を有する藻類を活用し、付加価値のある機能性表示食品等を展開することに協力できればと思っています。
機能性成分については、既に抗酸化作用が確認されているような藻類もありますが、新たに機能性成分が期待される藻類について、大量生産・コストダウンを実現する技術と合わせて共同で研究・開発することも想定しています。
 このほか、当社が取り扱う藻類は、大豆等と比較しても遜色ないタンパク質回収効率を示しており、代替タンパクとしての活用も期待できます。
 また、当社は藻類を赤・黄・緑色など7色に培養する特許技術を有しております。クッキー等に天然由来の色素として利用してもらうことで、色鮮やかで訴求力がある商品を展開できるのではないでしょうか。風味の特徴を活かし、食品添加物の代替として活用することも考えられます。

―― 最後に今後の目標についてお聞かせください。
木村 我々は、地球規模の課題解決を可能とする手段の一つが、藻類であると信じています。実用化技術の提供等により社会に貢献し続け、企業価値1000億円以上の企業となることを目指しています。

7色のクロレラ
カプセルに入った粉末サンプル

㈱アルガルバイオホームページ

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