購読申込

ISM ケルン国際菓子専門見本市 2024 現地取材レポート2024.05.27(月)フードニュース

※本記事は「フードニュース5月号」の現地取材レポートより抜粋したものです。

会場のケルンメッセ

 菓子専門展示会として世界最大規模を誇る「ISM ケルン 国際菓子専門見本市2024」(主催・KoelnmesseGmbH(ケルンメッセ社)。以下、ISM2024)が1月28日~31日の期間、ドイツ・ケルン市のケルンメッセで開催された。

 同展示会は、チョコレート・砂糖菓子・ビスケット・スナック・アイスクリーム/冷凍菓子など、菓子全般を網羅し、今年は74カ国から1427社の出展、140カ国以上から約3万人が来場。最先端のトレンドを反映した製品や独自性の高い製法を活用した製品等が展示されており、世界中のメーカー・バイヤーなど多くの関係者で賑わいをみせていた。

 菓子業界では「サステナビリティ」に関する取り組みが加速し、消費者の意識も高まり続けている。持続可能な方法で生産した原材料や天然成分を導入するメーカーは増加傾向にあり、また、アップサイクルした原材料を使用した、先進的な方法で製造することをアピールする企業も目立っていた。

 チョコレートカテゴリーでは、フェアトレードや環境保全の取り組み、カカオ農家の利益向上など、持続可能な社会への貢献を企業理念に盛り込み、製品開発を進めているメーカーも多い。そうした中、カカオの果肉を活用した製品や、オーツ麦とヒマワリの種をカカオ豆の代替として使用してカカオの風味を再現した製品が、下記で紹介する”イノベーショントップ3”に選ばれるなど、革新的な取り組みが進んでいる印象を受けた。

 全カテゴリーに共通し、健康や味にポジティブな影響を与える成分を含む「スター原材料」への注目度も高まっている。スーパーフード、微細藻類(クロレラなど)、プロバイオティクス(善玉菌)、ポストバイオティクス(腸内細菌が生み出す健康に有用な代謝産物)、キノコ類などを活用した菓子製品は、今後も増加していきそうだ。

 また、「楽しみながら健康促進」といったトレンドを反映し、健康志向とお菓子が本来持っている嗜好品として価値を深化させ、こだわりの原材料や意外性のあるフレーバーや食感など、楽しさとウェルネスの融合をアピールする製品が注目を集めていた。

 同展示会では新商品とイノベーションを発見できるゾーンとして、「ISM New Product Showcase(ISM 新製品ショーケース)」が毎年注目を集めている。世界各国のメーカーから100製品以上の出品があり、この中から審査によって、下記3製品が“イノベーショントップ3 ”として選定された。

TOP1  商品名「ChoViva」  企業名:Planet A Foods(ドイツ)

 カカオ豆を一切使用しないチョコレート製品。オーツ麦とヒマワリの種を発酵させ、ローストさせる革新的な生産プロセスにより、カカオのような風味を再現している。「サステナビリティ」の観点では、サプライチェーンの短縮と森林伐採の回避により、従来のチョコレートに比べてCO2排出量を最大90%削減し、水の使用量を最大94%削減できることを価値として訴求している。

TOP2 商品名「Cacaofruit Bites」 企業:Gudrun Commercial (ベルギー)

 カカオの果肉を活用したアップサイクル製品。フィリングに果肉エキスが練り込まれており、フルーティーな風味が濃厚なダークチョコレートとバランスよく調和している。100%堆肥化可能なカップに入っており、企業が環境に配慮した製品を開発し、農家に新たな収入源を提供するという業界のトレンドを反映している。

TOP3 商品名「PEZ  My HEAD」  企業:PEZ nternational (オーストリア)

玩具付きのキャンディ(錠菓)として長年親しまれる「PEZ」(ペッツ)。同製品は、アプリを無料でダウンロードし、顔写真をアップロードして注文することで、自分の顔のオリジナルPEZを入手できる。「独創的なプレゼント、自分自身へのユニークなご褒美に利用してほしい」としている。

※本誌5月号では同現地取材レポートとして、注目製品・展示ブースの取材や、トレンドを深堀りした記事、イノーバ社によるトップ10トレンドセミナーの様子などを掲載しております。ぜひご一読ください。

この記事をシェアする