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【新素材特集・コオロギタンパク】企業インタビュー・㈱エコロギー COO 池田健介 氏2022.08.25(木)フードニュース

※本企画は「フードニュース8月号」でも掲載しています。

独自性のあるコオロギパウダー製品を展開

―― 御社の概要と生産体制についてお教えください。
池田 当社(本社東京 葦苅晟矢代表取締役)は早稲田大学発のベンチャー企業として2017年に創業しました。「地球と生命が、食を通じて健やかになる持続可能な生態系を創る」というビジョンの実現に向け、現在はカンボジアでコオロギを量産し、食品や飼料向けとしてグローバルに販売しています。
 当社の特徴としては、コオロギ生産を一極集中型の工場生産ではなく、新興国の現地農家に生産を委託する分散型生産モデルを採用している点が挙げられます。
 カンボジアのタケオ地域で60軒以上の生産農家の方々と契約しており、当社が有する効率的で栄養価の高いコオロギを生産するノウハウを提供しています。現在は毎月1.5トン程のパウダー製品を製造できる体制となっています。

―― フードロスを回収し、エサとして有効活用する取り組みも行っていますね。
池田 世界中でフードロスの問題は深刻化していますが、特に東南アジアでは、食品リサイクルの仕組みが日本と比べて成熟していません。
 昨年から、米菓製造を行う「LYLY KAMEDA CO., LTD.」(亀田製菓㈱の合弁会社)や、レストラン、ビール製造等を行っているパートナー企業様のフードロスを回収し、それを独自にブレントしてエサとして有効活用する取り組みをスタートしました。
 フードロスを有効利用して、従来の畜産物に比べて環境負荷が圧倒的に低いコオロギを生産することから、同原料を使用することで定量的にSDGs効果を謳うことができます。また、生産を委託する農家(貧困家庭)の生活の質の向上にも貢献でき、貧困といった社会課題解決へ貢献することもできます。

―― 御社の製品についてお教えください。
池田 当社では、コオロギ粉末と大豆との混合品である「エコロギーパウダーSH」と、コーンスターチとの混合品である「エコロギーパウダーW」を発売しています。
 収穫したコオロギをカンボジアで粗いパウダーとして加工し、それを日本に輸入し、加水分解技術で分解処理して粉末化しています。新規性の高い独自の加水分解技術によって、コオロギの硬いタンパク質を分解し、エグみを改善し、口溶けのよい製品となっています。

―― 菓子製品への展開についてお考えを聞かせてください。
池田 当社製品は、従来課題となっていた風味や舌触りを改善しているため、幅広い菓子製品にも合わせやすいのではないでしょうか。
「エコロギーパウダーSH」は塩味の強いスナック菓子類等との相性がよく、「コオロギ―パウダーW」は、ビスケットやクッキーなど小麦主体の製品や洋菓子など甘い商品との相性がよいと考えています。
 現在、国内製菓メーカー様と豆菓子に同パウダーを使用する製品づくりを進めており、展示会での試食・アンケートでも好評で、ポジティブな意見をいただきました。このほか今後、チョコレートのコラボ製品の販売等も予定しております。
 今後も、様々な社会課題解決に繋がるサステナブルな製品としての価値を訴求し、事業を展開していきます。

カンボジアの現地生産農家の様子
「エコロギーパウダーW」

㈱エコロギーホームページ

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