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ミヨシ油脂・製造時間削減と品質向上が可能に。米菓における粉末油脂の優位性拡大2022.04.25(月)フードニュース

※本企画は「フードニュース4月号」でも掲載しています。

図1:「マジックファット200」によるもち米菓の製造方法

新潟県農業総合研究所食品研究センター提供

 ミヨシ油脂㈱(本社東京 三木逸郎代表取締役社長 兼 CEO)は2021年10月、新潟県農業総合研究所食品研究センターへの委託研究から得られた、粉末油脂の使用による生地加工の時間短縮とコストダウンに関する研究成果を発表した。

メリット1――製造の時間短縮とコストダウン
 
米菓の製造工程では、冷蔵して生地を硬化させる時間が必要だが、同社の「マジックファット200」を使用したところ、12時間~1日程度、時間が短縮できた。反対に「マジカルケーキ」(同社製)は硬化時間が長くなり、粉末油脂の種類を使い分けることによって、製造品の硬化時間をコントロールできることが明らかに。「マジックファット200」を生地に混ぜ込むことで、製造時間が短縮でき、コストダウンに繫がる(図1参照)というわけだ。


メカニズム――微細な油滴を生地組織に点在させる

「通常の固形油の場合、1粒の油滴が20µmや30µmと大きく、仮に生地の中に分散させても、油だけの部分と生地だけの部分ができ、まばらな状態になってしまう。しかし、粉末油脂の油滴は1µm以下と小さいため、生地の中に細かく分散させることができる」と説明するのは、食品本部 ソフト開発部 MD課の今村理絵氏。
 例えばデンプンが主原料となる場合、生地中に油脂が均一に分散すると生地組織が切れやすくなり、切断が容易になる。


メリット2――食感コントロール
 
また、食感も操作することが可能になり、食べ心地により商品の差別化に繫がる。
「もち米菓などの場合、粉末油脂を添加すると生地中に均一な空隙ができる。そのため、サクッと軽く噛み砕くことができ、心地好い食感が得られる。さらには、さまざまな種類の粉末油脂を使い分けることによって、食感の違いによる商品の個性作りも容易になる」と同部 ID課係長の市川 優氏。

メリット3――容易なメンテナンス

メンテナンスの面でも、機械に生地が張り付きにくくなって清掃が容易になり、コストが抑えられるメリットも。
また「粉末油脂を材料に添加するだけなので、現状の製造設備がそのまま使える」(市川氏)。
 従来、「米菓の材料に油脂を加える発想はほとんどなかったと思われる」(今村氏)が、生地に同社の粉末油脂を混ぜ入れることによって、製造時間の短縮と食感による品質向上、さらにはメンテナンスコストも抑えることが可能になる。
粉末油脂の優位性に、米菓メーカーの注目と期待が集まっている。

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