PICK UP 春日井製菓 おかしなメニューコンテスト2023.12.25(月)フードニュース
※本企画は「フードニュース12月号」にも掲載されています。
「お菓子の力」で「社内結束」深まり
「販路開拓」にも繋げる新イベント実施
「おかしな名古屋めしコンテスト 家庭部門」の参加者と審査員、協賛企業、同社スタッフが全員集合
「おかしなメニューコンテストin福岡」の参加者と審査員、同社スタッフ。お菓子を通じて集い、絆が深まった
お菓子を使った料理のコンテスト 福岡に続き、名古屋でも開催
春日井製菓㈱(本社名古屋 春日井大介社長)は今年8月の「第2回 おかしなメニューコンテストin福岡」(※1)に続き、11月に「第1回 おかしな名古屋めしコンテスト」を開催した。同社のお菓子を使った(今年の福岡では「黒あめ」限定)料理コンテストで、書類審査を勝ち抜いた各10名が実食審査に進み、小学生審査員(名古屋の「飲食店部門」は高校生)の素直で厳しい判定により、グランプリ(賞金10万円(各部門1名))、準グランプリ(賞金5万円(各部門3名))、春日井製菓賞(賞金3万円(各部門6名))を選出する。人気飲食店の料理人に加え、名古屋では「家庭部門」も新設され、小中高生から主婦まで多彩な参加者が集った。(※1:第1回は昨年3月、福岡県の飲食店10店が参加して実施)
自社商品を使った料理のレシピ提案は、喫食機会増加、ユーザー層拡大に繋がることから、SNSでの発信を中心に各メーカーとも注力施策として取り組んでいる。同社でもYouTube等でのアレンジレシピ動画の配信を行っているが、今回のコンテストのように、リアルで、しかも飲食店からの発信というスタイルを採用したのは、どんな狙いがあるのだろうか。
「昨年福岡で開催した1回目は、コロナ禍に翻弄された飲食店を、菓子メーカーならではの方法で応援したことが注目され、NHKなどテレビ4局で大きく報道された。今回も人と人とをお菓子で鎹いながら、プロの料理人の発想力で、『黒あめ』を始めとする当社商品の魅力を、再発信したかった」(同社 おかしな実験室 原智彦室長)
福岡で「黒あめ」をテーマとしたのは、同社の売上No.1キャンディである同商品の、九州地区でのシェア拡大に繋げることが目的だという。同社 福岡支店では「おかしな実験室」と協力しながら、 九州の有力菓子卸から、㈱木村の木村寿孝社長とヤマエ菓子㈱の髙宗英一社長を書類審査員に招聘するなど、「黒あめ」の配荷拡大への布石を打った。両社長は実食審査にも出席し、ユーザーと共に楽しむ場を提供する「黒あめ」のブランド力への共感が高まった印象だ。
こうした通常の販路拡大策に留まらず、同コンテストにおける飲食店との協業には、「新しい販路開拓」という大きなミッションが含まれている。
「少子化→人口減による市場縮小、競争激化に強い危機感を持っている。全国のSM、DgS、CVSは約10万店規模といわれているが、飲食店は約57万店規模(※2)。飲食店メニューでの当社商品の素材や調味料としての活用や、レジ横に置かれているキャンディへの継続的な採用により、大きな需要拡大となる可能性を秘めている。まずは、世の中をおもしろおかしくすることを飲食店のみなさんと一緒に取り組んで信頼関係を築き、飲食店の口コミネットワークも活用しながら、エンドユーザーとして需要を支える共感者を増やしていきたい」(原室長)(※2:厚生労働省2021年調べ)
「第2回 おかしなメニューコンテストin福岡」のグランプリは「窯焼きビストロ博多NUKUNUKU」の永野あゆみさん作「黒あめを贅沢に使ったフレンチトースト」。プロの料理人の感性が、「黒あめ」の可能性を広げる
地元・名古屋で愛され続ける菓子
名古屋でのコンテストでは、地元の「名古屋めし・名古屋グルメ」を同社のお菓子とともに盛り上げよう、という思いで、「なごやめし普及促進協議会」や地元企業等の協力・協賛のもと、2日間に渡って開催。参加者による料理紹介のプレゼンコメントでは、「友だちのおばあちゃんにもらって食べた思い出のある『黒あめ』を味つけに」、「名古屋といえば、えび、えびといえば『えびピーナ♪』」など、同社のお菓子が長年に渡って、地元ユーザーに愛され、根付いていることが見て取れた。飲食店部門・家庭部門の両日ともに地方TV局の取材が入り、TVによる波及効果にも期待が持てた。
また、地元ということで社員の積極的な協力も目立ち、家庭部門の小学生審査員を同社社員の子どもたちが務めたほか、コンテスト会場の裏方として、社長を始め多くの社員が駆けつけるなど、社内の結束が高まる効果もあった。
「3回のコンテストを通じ、人を集めて楽しくする、お菓子の力を再認識した。そしてお菓子の力を発信しながら、新たな販路開拓への道筋も見えてきた」(原室長)
同社が目指す「新しい販路開拓」には、別業種の卸売と関係構築や、飲食店向けの商品形態の開発等、クリアすべきハードルが幾重にも連なっているのが現状だ。しかしながら、営業部門だけが販路開拓を担うのではなく、「おかしな実験室」のような新しい発想を持った組織とともに歩むことで、広がる可能性は大きいのではないか。菓子業界の課題解決に一石を投じる、同実験室による「その手があったか!」の新手法に期待したい。
天むす、肉みそうどん、ナポリタンなど、お菓子の力で新たなおいしさを発揮した名古屋めしがズラリ。グランプリは「いかピーナ♪」と「黒あめ」を使った、岩本茜梨さん作「やわらかチキンのカリカリピー揚げ」(家庭部門)。飲食店部門は「キッチンはじまる」の安藤美香さん作「グリーン好きなエビ天むす」
手作りのクリップを用意してアピールする参加者も。楽しく、熱い思いが会場に広がる